俺様紳士の恋愛レッスン
「すみません、もう閉店で……」



慌てた様子の女性が、カウンターを出ようとしたその時。



「こんばんは」



低い声が発せられると同時に、その手が女性の手首を掴み、カウンターの中へと引き戻した。

驚く女性を後ろに追いやり、ナイトの如く目の前に立ち塞がったのは、チャコールグレーのスーツ。



「篠宮さん、どうかされましたか?」



向けられた笑みは、今朝見たモノと同じはずだ。

けれどピリッと伝わる冷たい空気が、私の背筋を凍らせる。



「十夜くん、お知り合いの方?」



背中に隠れたか細い声は、確かに彼の名前を呼んだ。

今度はドクンと大きな音を立てて、心臓が揺れ動く。

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