俺様紳士の恋愛レッスン
「つーかなんで分かったんだよ」

「えっ、何が?」

「だから、なんで俺が買おうとしてたもんが分かったんだよ」

「えぇ!? そうなの!?」



驚く私の手を取り、椅子から立ち上がらせた勢いをそのままに、ぎゅっと私を抱き寄せる十夜。

強引な力はいつもと同じなのに、清涼な香りが移っていない無垢なニットのせいで、知らない人に抱かれているかのような緊張感だ。



「……十夜、似合ってるよ」

「ん」

「サイズもぴったりでよかった」

「エン」



十夜は私の後頭部を強く抑えたまま、もぞりと顔をずらし、耳元に唇を寄せる。

そして、躊躇うような呼吸の後。



「……ありがとな」



それは、吐息にも等しい声だった。

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