俺様紳士の恋愛レッスン

私たちはアイを知る

「十夜、頭変じゃない?」

「安心しろ。いつも通り変だから」

「そうじゃなくてっ!」



十夜はカラーシャツの襟を正しながら、「冗談だ」と言って笑う。

私は頬を膨らませながら、頭の上の花冠にそっと触れた。


重厚な木製扉の向こうからは、マイクを通した女性の丁寧な声色が聞こえてくる。



「緊張するねっ!」

「コケんなよ」



ぼんやりと聞こえていた喧騒も薄れ、扉の前に立つ正装のスタッフに「間もなくです」と促される。

ふー、と息を吐き出すと、十夜は左腕をくの字に曲げ、こちらへ差し出した。



「行くぞ」

「うんっ!」



右手には、彼の腕を。

左手には、シュガーカラーのブーケを持って。



『それでは、新郎新婦の入場です!』



いざ、光と歓喜が満ち溢れるガーデンへ。

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