俺様紳士の恋愛レッスン
「あの時は! とにかくかたっ片柳さんを」

「ほら噛んだ」

「ぬぁ……ッ!」

「バーカ」



本当に、ただのバカだ。

恥ずかしすぎて泣けてくる。



「お待たせ致しました」



そこに店員がやってきて、注文したドリンクと、お通しの野菜スティックを置いて去っていく。



「……じゃあ、十夜って呼ぶね」

「おー」



身体が火照っているせいだろうか、両手で包み込んだグラスが妙に冷たく感じる。



「じゃ、乾杯!」

「お疲れ」



キン、と音を立てたグラスは、各々の唇へと寄せられた。

緊張やら恥ずかしさやらで喉がカラカラだった私は、くいっと一口、真っ赤なアルコールを流し込む。



「っあー! んーまッ!」

「色気ねーな」

「だって美味しいんだもん。残業の後の一杯は最高だわー!」



続けてお通しのパプリカを1つ摘む。

こんな時でもかわいこぶることを忘れてしまう私は、やはり女子力に欠けているのだろう。

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