俺様紳士の恋愛レッスン
女性の容姿に見入っていると、ふと視界をシルバーの輝きが横切った。

華奢な光りを放つ、それは――



「結婚指輪ァ!?」

「はっはい!?」



私は勢い良く椅子から立ち上がると、女性の左手薬指に光るそれを一点に見つめた。



「ご結婚なさってるんですか!?」

「あっ、はい……」



女性は逃げ腰になりながらも、ハッキリと肯定した。

途端に巡る、嫌な想像。


十夜は女性のことを、『彼女“では”ない』と言った。

更には私の質問に対し、『彼女“は”いない』と答えた。


……まさか。

まさかまさかまさか!



「あのっ、お名前は!?」



必死の形相になっているだろう私に詰め寄られ、女性は大きな目をこれでもかと見開く。

しかしすぐに肩を落とすと、ふふ、と優しく微笑んだ。



「遠山です。遠山優愛と申します」

< 91 / 467 >

この作品をシェア

pagetop