好きだからキスして何が悪い?

夏休みは前半に課題を終えて、あとはひたすら読書と妄想という、幸せなひきこもり生活が私の恒例。

だけど、今年はちょっと違う。

なぜなら、またバイトをしに来てくれないかと店長さんから電話が来たから。


それはとってもありがたいお誘いなのだけど……

『ソウくんもいるから、また仲良くやってね』

という一言が複雑な気持ちにさせる。

会えるのは嬉しいけど気まずいよ……。


その気持ちをスマホに打ち込むと、文ちゃんに送信してベッドに仰向けに寝転がった。

何をしていても如月くんのことが頭から離れない。

嫌われていてもこうなんだから、恋って本当に病気みたいだ。


ぼんやり考えながら返信を待つけど、なかなか来ない。

ウトウトし始めた時、手に持ったままのスマホが音を鳴らしながら震えた。

重い瞼を持ち上げて、文ちゃんからのメールを読む。


“また一緒にバイトやれるなんてラッキーじゃん! 今度お祭りがあるでしょ? あたしと琉依も行くからさ、如月くんも行こうって菜乃から誘っておいてよ♪”


「……ぇぇえ!?」


内容を確認した瞬間、一気に目が冴えた。

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