好きだからキスして何が悪い?
「こんな可愛いコ待たせるような奴はほっといてさ、オレと遊ぼうよ」

「えっ!?」

「向こうにダチがいるんだ。女の子もいるからおいでよ」

「っ、や……!」


強引に肩を抱き寄せられ、私の足は踏ん張れずに、されるがまま連れられていってしまう。

やだ、やめてよーっ!!


「ちょっ……離してください!」

「いいじゃん。絶対楽しいって」


本当に勘弁して~!

もがいてもしっかり肩を抱く腕はほどけなくて、焦りと恐怖感が募る。


そして、頭を過ぎるのは、パープルの三人組に絡まれた時のこと。

あの時は如月くんが助けてくれた。

でも、今──彼はいない。


赤い橋からもどんどん遠ざかってしまう。

いろいろなことに無力感を覚えて、また涙が込み上げた。

もうやだ。やだよ……!


「たす、けて……っ」


無意識に声を漏らしながら、頭の中では大好きな彼の姿が消えそうになっていた。

その瞬間。


「待てよ!」


焦りが滲んだ声がするとともに、私の手首が誰かにぐっと力強く握られる。

そのおかげで、ようやく止まることができた。

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