好きだからキスして何が悪い?
「誰、誰? 超イケメン!」

「ふふふ、一時期付き合ってたの。いいでしょ」

「マジ~!?」


きゃーきゃーと騒ぎ立てるふたりにため息が出る。

俺は何でコイツと付き合ってたんだろうか。


「じゃーな。俺、待ち合わせしてるから時間ないんだ」

「え~」


さっさと去ろうとすると、横からひとりの男子が軽やかに走ってきた。


「お待たせ~マリちゃん♪ ……って、アンタ人の彼女に何してんだ!?」

「何もしてねーよ」


かき氷を片手に、ぐわっと牙を剥く金髪の男を、冷めた目で一瞥する俺。

そのかき氷を取り上げ、彼の腕に自分の手を絡ませるマリが苦笑して言う。


「ごめん、奏! この人あたしの1コ下の彼氏なんだけど、血の気多くって」

「……カナデ……?」


ピクリと反応を示した男は、急にまじまじと俺を凝視しだす。

そして、マリは「あっ」と口を手で押さえた。

そんなふたりに一瞬何かと思ったが、彼氏の方にバッと耳のあたりを確認するように見られて、はっとする。

とっさに手で隠したものの、一息遅く。


「ま、まさか、あなたが音哉(オトヤ)さんの……!?」

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