好きだからキスして何が悪い?
「えぇぇ!? な、何言ってるの文ちゃん! 琉依くんが私のことをそんなふうに思ってるわけ──!」

「あたしは嘘とか、誰かさんみたいに妄想を言ってるんじゃないの」

「うっ」


びしっと言い放たれ、私は口をつぐんだ。

文ちゃんはどこか遠くを見るように、目線をさ迷わせて言う。


「琉依の気持ちをはっきり聞いたわけじゃないけど、ふたりでお祭り回ってる時にいろいろ話して確信したよ。その前から、ずっと無意識にアイツのこと見ちゃってたからわかってたけどね」

「そう、だったんだ……」


文ちゃんがここまで言うなら、きっと本当なんだろう。

琉依くんは、それでも私の恋を応援してくれてたってことだよね?

もしかして、私に告白するって如月くんに言ったというのは、あながち嘘ではなかったりして……。


「……ふたりともすごいよ」


自分の気持ちよりも、人の幸せのために行動することができるなんて。

そう思いながら感服したように言うと、文ちゃんは「すごくなんてないよ」と苦笑した。

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