好きだからキスして何が悪い?
「い、いいですよそんな! だって、如月くんのご飯がなくなっちゃう……!」
「俺はそのへんで買ってくるから平気」
あわあわしながら訴えるけれど、彼はまったく気にせず部屋を出ていこうとする。
でもこれ全部もらうなんて申し訳ない……と思うと、無意識にこんなことを言っていた。
「あ! じゃあ私このおにぎりひとつだけあれば十分なんで、あとは如月くんが──」
「女の情けは受けねぇよ」
うわ、恐っ!
ドアノブに手を掛けたまま振り返った彼の険しい形相に、ビクッと肩をすくめる私。
でも、その“敵の情けは無用”的な言い方、なんかちょっとおかしい気もしますけど。
口の端を引きつらせていると、如月くんはすぐにいつもの表情に戻って、抑揚のない声で言う。
「お前を働かせるように言い出したのは俺なんだし。おとなしくもらっとけ」
あ……如月くん、一応そういうところは気にしてくれるんだ。
変に義理堅い彼に少しだけ笑いがこぼれ、私はビニール袋からおにぎりを取り出した。
「……じゃあ、お言葉に甘えて。ありがとうございます」
笑顔で小さく頭を下げると、如月くんは静かに部屋を出ていった。
「俺はそのへんで買ってくるから平気」
あわあわしながら訴えるけれど、彼はまったく気にせず部屋を出ていこうとする。
でもこれ全部もらうなんて申し訳ない……と思うと、無意識にこんなことを言っていた。
「あ! じゃあ私このおにぎりひとつだけあれば十分なんで、あとは如月くんが──」
「女の情けは受けねぇよ」
うわ、恐っ!
ドアノブに手を掛けたまま振り返った彼の険しい形相に、ビクッと肩をすくめる私。
でも、その“敵の情けは無用”的な言い方、なんかちょっとおかしい気もしますけど。
口の端を引きつらせていると、如月くんはすぐにいつもの表情に戻って、抑揚のない声で言う。
「お前を働かせるように言い出したのは俺なんだし。おとなしくもらっとけ」
あ……如月くん、一応そういうところは気にしてくれるんだ。
変に義理堅い彼に少しだけ笑いがこぼれ、私はビニール袋からおにぎりを取り出した。
「……じゃあ、お言葉に甘えて。ありがとうございます」
笑顔で小さく頭を下げると、如月くんは静かに部屋を出ていった。