笑顔の裏側に
悠が可愛いと言ってくれたワンピースを着て、悠のくれた桜色のストーンがついたハートのネックレスを身につけた。

忘れ物がないかを確認して、鞄を持って家を出た。

待ち合わせ場所に指定した駅に向かう。

電車に揺られながら、駅に近づくたび、緊張が高まっていく。

そして待ち合わせ時刻の30分以上も前に着いた。

来てくれる保証はないけど、電車が駅に到着するたび、行き交う人の波を眺めながら悠を探す。

バレンタインの日。

メッセージカードの最後に今日のことを書いた。

その日の夜に悠からお礼のメッセージが携帯に届いたから、きっと今日のことも伝わっていると思う。

だから悠がここに来ても来なくても、それが悠の答えなんだろう。

そしたら私はもうそれを受け入れるしかない。

頭では分かっていても、来てくれないなんて信じたくもないし、受け入れたくもない。

矛盾した心が諦めを悪くしていた。
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