虹の彼方に。
・・・・・???

みんながいなくなった教室は、物音1つ聞こえない。
日差しが斜めに入ってきている窓は、オレンジ色の光を放っている。

誰も居ない教室に、ガラガラとドアを開ける音が響く。
キュッキュッと上履きを鳴らし、その人物は教室の窓側の机に腰かけ、
机の中をガサゴソと音を立ててあさりはじめた。




「・・・・あった」




その人物は一冊の書物を開き、ページをめくっていった。
パラパラとめくっていた時、途中でぴたりと手が止まった。
その人物はじっとページをのぞいては目を見開いたり、真剣な顔つきに戻ったり。

5分くらい経っただろうか。
その人物はポケットからスマートフォンを取り出し、カシャカシャと効果音を鳴らした。

それが保存できたことを確認すると、
机からぴょんと飛び降り、机の中にその書物を放り込んだ。

窓に近寄り、ガラスに手を当てる。
夕焼けが眩しい。太陽がまるで我を表すように輝いていて、その人物も教室も強い光に照らされていた。

眩しそうにその人物は目を細めると、くるっと向きを変え、あたりを見回した。

こんな時間だ。生徒はおろか、先生すら見当たらない。

スマートフォンをそっと手で握り、



「やっと見つけたぁ・・・」



とオレンジに照らされた顔で妖しく笑うと、ぱたぱたと教室から出て行った。







「あー、先越されちゃったかな・・・」
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