君までの距離
「彼に会えたら、渡辺のスキなんてただの憧れだってわかると思ってた」
尾上さんが細く息を吐きながら、言葉を漏らした。
「憧れてました。でも、今日仕事を見ていて、尊敬できる人だと思いました。仕事に対する取り組み方が、真面目で…それでいて、まわりを巻き込んで楽しかったので…」
「それは、俺が合わせたから知った事なんだよね?」
尾上さんは顔をしかめた。普段のにこやかな尾上さんとは別人のように、いらいらとした感情が透けて見える。
「…会わせなければ良かったよ」
アタシは少し笑った。唇がほんの少しだけ上がった。
「たとえ今日会えなかったとしても、一ヶ月後かもしれないし一年後かもしれないけれど、アタシは高遠さんと会っていたと思います」