君までの距離


「彼に会えたら、渡辺のスキなんてただの憧れだってわかると思ってた」



尾上さんが細く息を吐きながら、言葉を漏らした。



「憧れてました。でも、今日仕事を見ていて、尊敬できる人だと思いました。仕事に対する取り組み方が、真面目で…それでいて、まわりを巻き込んで楽しかったので…」

「それは、俺が合わせたから知った事なんだよね?」



尾上さんは顔をしかめた。普段のにこやかな尾上さんとは別人のように、いらいらとした感情が透けて見える。


「…会わせなければ良かったよ」



アタシは少し笑った。唇がほんの少しだけ上がった。


「たとえ今日会えなかったとしても、一ヶ月後かもしれないし一年後かもしれないけれど、アタシは高遠さんと会っていたと思います」

< 133 / 250 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop