君までの距離

帰りぎわ店長はアタシに名刺をくれて、地図を指しながら帰り道を教えてくれる。


お店の名前、住所、地図、電話番号の書かれたそれはシンプルだけど品のいいものだった。


「未也ちゃんならいつでも来ていいよ。また親子丼食べにおいで」

そう言って送り出してくれた。





うちに帰ってネットで見たら、その店は隠れた名店らしくお座敷のお客は一日二組しか取らないし、芸能人もお忍びで来るようなお店だった…

『ランチあります』

だなんて…お気軽に入ったけど夜のコース料理は二万円からで、アタシが普段行けるような店ではないことは確かだった。
< 55 / 250 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop