咲の牙
さて、私は最後の一人を起こしに行きますか。



「おはよう、皆(かい)!!起きて━━」



勢いよく開いた扉の中は、真っ暗だった。



電気もついてないし、窓は厚いカーテンで覆われて光も入ってこないんだから、当然ちゃ当然だよね。



「・・・」



私は黙って電気を点ける。



布団の上には毛布と、皆が脱いだであろう服。



「・・・ちょっと、か━━」



「あら咲ちゃん、おはよう」



「!?お、おはよう、お義母さん」



びっくりした・・・。



いつの間にか、私の後ろには美名子さんがいた




「どうしたの?もうちょっとでご飯なんでしょ?」



「うん、だけどちょっと先に洗濯物干しておこうと思ってね」



ほら、と言って美名子さんは手に持っている洗濯籠を見せる。



「そうなんだ」



「あら、まだ皆くん起きてないの?」



「ううん、今来てみたらいなかったから、トイレとか行ってるんじゃないかな?」



「そう。咲ちゃんも早くおいでね」



「うん」



頷くと美名子さんは去って行った。


それを見送ると、私は静かに部屋のドアを閉めた。




< 12 / 41 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop