咲の牙
「・・・危なかった」



部屋に入ったままドアを閉めた後、私は安堵のため息をついた。



美名子さんに言ったことは丸っきり嘘。



実は、トイレに行ったと私が言った皆は、今この部屋にいる。



布団の上に散らかった服の中には、明らかに下着にしか見えない物体もある。



さすがに家の中を全裸で歩き回るようなお馬鹿は百瀬家にいない。



バッ━━



私は勢いよく毛布をはぐった。
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