椎名くんの進級
誘ってくれて良かったよ
「帰り、どっか寄らない?」
高橋が提案した。
どこかと言われても、部活で忙しい俺達は遊び場なんてほとんど知らない。高橋に良い案があるとも思えない。でも、このまま椎名を帰すのはなんとなく嫌だった。
「カラオケとか?」
「あー、、」
カラオケが良いとも思えなかったけど、ゲーセンよりはマシに思えた。

「神井ィ 卑怯だぞぉ。」
あまり盛り上がらない歌が一巡したあと、突然椎名が叫びだした。
「大野先輩も、あんな顔のどこがいいんだぁ~!」
「先輩は裏方組のものだぞ~!勝手に持っていくな。馬鹿野郎!」
藤沢が調子を合わせる。
「多恵とか呼んでんじゃねーよ。」
「大野先輩、戻ってきてくださーい。」
「神井ィーっ!優しくするからとか言ってんじゃねぇぞぉ。全然似合わないからなぁ!」
「部室でイチャイチャしてんじゃねぇよ。」
「急に可愛くなりやがって、ずりぃだろうがっ。」
「突然、可愛くなり過ぎです。川村さんが可哀想です。」
「川村も逃げんな!バカヤロー。」
「俺達見捨てやがって。。」
「もう勝手にやってろー!」
「俺も彼女が欲しいーっ!」
「可愛い彼女が欲しいーっ!」

俺達はそれぞれ愚痴を叫びはじめた。俺達は防音のカラオケボックスで、口々に神井先輩を罵り、大野先輩に悪態をついた。もう言う事も尽きたかというころ、
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