椎名くんの進級
春の日は意外と長い。カラオケを出ても、まだ外は明るかった。
「じゃあな。」
「おう、また明日な。」
高橋と藤沢と別れる。俺と椎名は同じ方向だった。
「演劇部。誘ってくれて良かったよ。」
「何の話?」
「椎名に誘われなかったら入部してなかった。」
自転車に乗るのも忘れて話しこむ。

「そっか。良かったか。」
「ああ、良かった。」
「もうすぐ、一年経つんだな。とうとう引退しちゃうのか。」
「先輩がな。。次は俺達が先輩になるんだ。」
「あぁ。そうか。」

「分かってなかっただろ。後輩が入部するんだぜ。可愛い子が入ると良いな。」
「そうか。。後輩に女の子が入る可能性だってあるよな。」
椎名は初めてそのことに気付いたみたいだった。
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