坂道では自転車を降りて
「なんだ、やっぱり神井も大野さんに負けたか。」
「お前、勝ったんだろ。すごいな。俺、手加減された。屈辱だ。」
「気にするな。俺以外はほぼみんな負けたんだから。これは理系のゲームだ。」

「お前、理系だったのか?」
確かにそんな感じだが、演劇部には珍しい。いや、そうでもないか。単に俺の親しい友人に少ないだけだ。
「理系文系って括りは好きじゃないけどね。論理的かどうかって話だから、大野さんはお前が強そうだと思ったんだろう。でも、違ったみたいだな。俺は数学は好きだぜ。数学ほど美しいものはない。バッハなんて最高だ。」
バッハって音楽家だよな。数学とどういう関係なんだろう。。

「もしかして、大野さんは理系なのか?」
川村は知らなかったのか?と言った顔をした。
「彼女は数学よりも物理だそうだ。宇宙の謎を解明するんだって言ってる。月が何故あそこにあるのか、聞いてみな。それはそれは分かりやすく解説してくれるぜ。」
「。。。。。」
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