坂道では自転車を降りて
 絶句してしまった。演劇部にいるし、図書室に入り浸っていて、小説の話題にも明るいので、勝手に文系だと思っていた。だいたい女子で理系なんて、絶対数が少ない。でもそうか、なんとなく彼女に感じていたアンバランスな賢さは、理系脳か。彼女と話していると、小学生か、アンドロイドと話しているような、すごく変な感じがするときがある。妙に納得してしまった。

「ねえ、みんなおやつ食べる?」
女子達がどこからかお菓子を持ち出し並べ始めた。皆、バラバラと自動販売機へ飲み物を買いに行く。俺も自販機でお茶を買いに行った。戻って来ると各々、好きな場所でスナックを摘んだりお茶を飲んだりし始める。
 大野多恵があたりまえのように川村の隣に立ち、ペットボトルのフタを開けて貰っていた。俺の隣にはいつ来たのか美波がいた。なんだか胸がざわざわする。

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