坂道では自転車を降りて
「えと、、美波さん?」
「はい。」
「あの、俺が、その、あなたのような女性をモデルに本を書くことは、、、今は考えてないけど、今後ないとはいいきれません。女優としての君のことは、正直よくわかりません。がんばってください。ただ、その、君とその恋人同士とか、そういうのは、多分、いや、今は、ないんじゃないかな。これからも、その、同じ部の部員として、良い仲間ではいたいと思うけど。。答えになっていますでしょうか?」
 これで切り抜けられるか。自分でもびっくりするくらいすらすらと言えた。パーフェクトに近い返事だ。本書いてて良かった。俺、天才。

「胸がダメって。。。ホモ?」
「は?」
「もしかして、男が好きなの?」
「はい?」

んなわけないだろっ。
 彼女に興味を持たない男を端からゲイ認定していたら、世の中ゲイだらけになってしまう。どうしたら、そういう発想になるのか?

「そういうことだったのね。あっ、原くん?」
違う!誤解だ!
 とんでもないことになった。自分がゲイ認定されてしまうのは、何としても避けたい。こいつら女は根も葉もない噂を光の速度で広げてしまう。

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