坂道では自転車を降りて
さぁって。俺は携帯を取り出し時間を確認した。よかった。まだ6時だ。彼女は俺にかけてあったらしい舞台衣装の数々を片付け始めた。俺も一緒に片付ける。

「みんなは?」
「今日は早めに帰ったよ。後半はダンス部のリハで舞台使えないし、部室では寝てる人がいるし。」

「君は?」
「寝てる人を1人でおいて帰るわけに行かないでしょ?」
「ごめん。起こしてくれたらよかったのに。」
「何度も起こしたよ。全然、起きないんだもん。ほんと大迷惑。」
「ごめん。」

「それより明日、大丈夫なの?」
「大丈夫だ。多分。」
君とこんな風に話せることが分かったから。
「本当に?根拠あるの?」
「ない。」
「今日は、大変だったんだからね。皆に、何があったのか聞かれて。」
「皆って?」
「なんでか知らないけど、皆、知ってたよ。役者も裏もみ~んな。こんな時期に別れるなんて信じらんないとか、好き勝手なこと言われて。まさに、吊るし上げ状態。」
「。。。。。え。」
< 310 / 874 >

この作品をシェア

pagetop