坂道では自転車を降りて
公演は無事終了した。誰もが達成感と開放感をみなぎらせた顔で、笑っていた。装置や小道具を部室に仮置きし、部員達は打ち上げになだれ込む。
俺は、打ち上げには出ずに、大野多恵と話をしようと考えていた。
結論を先送りにしてずるずるこのままにするのは、お互いよくない。それに、彼女との事をこのままにして打ち上げに行ったって楽しい訳がない。俺は今回は吊るし上げを食いそうだし、彼女は元々宴会の類いが苦手で、まともに打ち上げに参加したことがない。二人で打ち上げをキャンセルして、部室で話すか、家まで送ろう。
それにしても、何と話そう。考えていると、原が声をかけてきた。
「大野さん、すごい緊張してたな。」
「みたいだな。」
「あたふたしちゃってて、見ててハラハラしたけど、あれはあれで問題なかったよ。脚本変更して正解だったな。」
「俺、前向いてたから、見てないや。」
「意外な一面だな。可愛かったぜ。」
俺も見たかったなぁ。すぐ後ろでやってたのに。ビデオで見ても見えるかどうか。
「それにしても、遅いよなぁ。戸締まりは女子に任せて、俺達は先に行こうぜ。」
「いや、えーと、俺は帰るよ。」
「はぁ?お前が来なくちゃ始まらないだろ。」
確かに、部員のみんなにも謝らねばならない。だが、
「彼女を送る。」
文句あるか?という顔をしてみせる。
「大野さんは今回も来ないのか?」
「聞いてはいないけど。。」
戸を閉めた部室の奥から女子の姦しい笑い声がする。舞台メイクを落として着替えているのだが、いつもの事とはいえ、なんでこんなに時間がかかるのか。と、ドアが開いて一年の女子がこちらを覗いた。
「まだ、いますよ。」
何やら部室内に報告している。
「神井先輩、原部長もみてくださいよ。」
そう言って、ドアの中へ誘われた。
俺は、打ち上げには出ずに、大野多恵と話をしようと考えていた。
結論を先送りにしてずるずるこのままにするのは、お互いよくない。それに、彼女との事をこのままにして打ち上げに行ったって楽しい訳がない。俺は今回は吊るし上げを食いそうだし、彼女は元々宴会の類いが苦手で、まともに打ち上げに参加したことがない。二人で打ち上げをキャンセルして、部室で話すか、家まで送ろう。
それにしても、何と話そう。考えていると、原が声をかけてきた。
「大野さん、すごい緊張してたな。」
「みたいだな。」
「あたふたしちゃってて、見ててハラハラしたけど、あれはあれで問題なかったよ。脚本変更して正解だったな。」
「俺、前向いてたから、見てないや。」
「意外な一面だな。可愛かったぜ。」
俺も見たかったなぁ。すぐ後ろでやってたのに。ビデオで見ても見えるかどうか。
「それにしても、遅いよなぁ。戸締まりは女子に任せて、俺達は先に行こうぜ。」
「いや、えーと、俺は帰るよ。」
「はぁ?お前が来なくちゃ始まらないだろ。」
確かに、部員のみんなにも謝らねばならない。だが、
「彼女を送る。」
文句あるか?という顔をしてみせる。
「大野さんは今回も来ないのか?」
「聞いてはいないけど。。」
戸を閉めた部室の奥から女子の姦しい笑い声がする。舞台メイクを落として着替えているのだが、いつもの事とはいえ、なんでこんなに時間がかかるのか。と、ドアが開いて一年の女子がこちらを覗いた。
「まだ、いますよ。」
何やら部室内に報告している。
「神井先輩、原部長もみてくださいよ。」
そう言って、ドアの中へ誘われた。