坂道では自転車を降りて
「どうして?せっかくみんなが来てくれたのにっ。なんで今なの?」
「ごめん。でも、このままじゃまずいんだ。」
「なんなのっ?」
むちゃくちゃ怒ってる。そんなに怒らなくても。。
「じっとしてて。」
倉庫に入ると俺は彼女の髪を搔き上げた。首筋の後ろ、耳の下あたりにすごいキスマークがついていた。これじゃあ、隣にいたらすぐ気付くだろう。自分で気付かなかったんだろうか。彼女そういうの疎いからなぁ。授業中は大丈夫だったのかな。

「ここ。」
「そこがなんなの?」
「しっ」
やっぱり分かってなかったか。そうだよな。俺だって自分がつけたんじゃなきゃ、思い当たらなかったかもしれない。声をひそめて言う。『キスマーク』
「??」
『ごめん。』

「。。。え、なんで?あ、君がつけたのか。」
「髪を降ろしてたら見えないけど。結構、目立つ。体育、髪の毛、縛るんだよな。」
彼女は体育の時間はいつも、髪を後ろで三つ編みにして縛っていた。
「いや、縛らなくても、怒られないけど。どうなってるの?他の人も見たら分かるの?」
髪を下ろしていても、襟のない体操服を着たら、目立つかもしれない。ってか、運動したら見えないわけが無い。
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