坂道では自転車を降りて
「原くんもっ!このケダモノを野放しにしないでっ!」
「北村さん、ケダモノって。ぶぶっ。あははは。」
ツボにハマってしまったらしく、原が笑い出す。
「もう!ジョーの回りは、こんなのばっかり。何なのよ。演劇部ってそういう活動する部なわけ?」
「メグ。もう止めて。帰ろうよ。時間なくなる。」
彼女は怒る北村さんを引っ張って帰って行った。

「はぁ。。」
思わずため息が出た。
「ケダモノはひどいな。」
原はまだ笑っていた。北村さんはエリちゃんと一緒に、全て聞いているんだろう。多分、終業式のことも。
「いや、、その通りだから。」
演劇部って言ったから、川村の事も聞いてるのかもしれない。

「そうか?恋人同士なら普通じゃん。ちょっと場所が悪かっただけで。もっとすごい事してる奴らだって、いくらでもいるだろ?」
目尻に浮いた涙を拭きながら原が答える。
「北村さんが怒ってるのは、それが合意じゃないからだろ。」
「恋人にイチイチ、今からここにキスします。良いですか?って聞くの?変だろそれ。」
「恋人同士だって、たとえ夫婦だって、相手が嫌がってたら、それはレイプなんだ。」
「。。。。え?。。」
原はぎょっとした顔で絶句した。俺は情けない顔で笑うしかなかった。

「ちょっと、え、何の話?お前 何したの??」
部室のドアの前で原が立ち止まった。
「こんなとこでは言えないよ。」
俺はドアを開けて部室に入った。
「え?えーっ。」
廊下で原が叫んでいた。
< 440 / 874 >

この作品をシェア

pagetop