坂道では自転車を降りて

「そっか。了解。ところで、土曜に晴れたら何すんの?」
「写真を教えてもらうの。」
「誰に?」
「織田くん。」
「。。。そうなんだ。」
一瞬言葉に詰まった。てか、いつからそんなに仲良くなってたの?
「ウチにも一応一眼レフがあって、私も写真撮るの好きなの。織田くん上手だから、教えてもらおうと思って。構図は絵にも通じるし。動いている人物とかは写真から起こさないと、上手く描けなくて。」
「そうなんだ。」
 そういえば、最近、写真を元にした絵をよく描いている。普通に描いた絵と違って細部が細かいというか、写真と絵の中間くらいの不思議な絵だった。俺の写真や演劇部員の写真も何枚か使われていた。いつ撮ったのかと思っていたけど、もしかして織田の撮った写真だったのか?
 描き上がった絵を織田と仲良く眺める彼女が脳裏に浮かぶ。自虐的な妄想がむくむくと湧き上がりかけ、理性で押し戻す。

「で、教えてもらったら、今度、神井くんを撮りたいんだけど、いい?」
「。。。。それは、、ちょっと、勘弁して欲しいな。」
「だめ?」
「だめというより、無理。」
「そっか。。まあ、今はいいや。そのうちね。」
「いや、それより、さ、」
「うん?」
「えっと、土曜は2人で出かけるの?」
「多分、他にも写真部の子が来るし、メグもカメラ習いたいって。」
「そうなんだ。」

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