坂道では自転車を降りて
させてよ
 織田達は別方向。北村さんは買い物があるからと言って別れた。気を利かせてくれたのかもしれない。2人でバスを降り、公園に寄る。

「カメラ面白いな。俺もそーゆーの欲しくなっちゃった。」
「楽しかった?」
「まあ、うん。」
2人だけのデートもいいけど、あーゆーのも楽しいんだな。
「私も、神井くんがいたから、すごく楽しかった。」

嬉しい事を言ってくれるね。こーゆーのを素で言っちゃう所が、彼女だよなぁ。顔がにやけてしまう。いやいや、でもさ。。
「それにしても君、いつの間に織田とあんなに仲良くなってたの?」
「もともと親しいよ。一年近く一緒に活動してたわけだし。」
「そうだけど。写真のモデルとか。なんで受ける前に俺に言わないの?っていうか、なんでそんなの引き受けちゃうの。」
「なんで?なんかマズかった?」
「。。。。。」
なんでって、だって、君は俺の彼女なわけで。。。
「私も最初は嫌だったんだけど。演劇部で、織田くんすごく頑張ってくれて、特に3学期は写真も全然撮りに行かれなくなってたみたいなの。私が先輩なのに、結局最後まで、織田くんに頼りっぱなしだったから。お礼がしたかったのもあったし。」

 そうだった。川村が抜けた後ゴタゴタしていた(俺が引っ掻き回してめちゃめちゃにしたとも言える。)裏方を、織田はなんとか立て直して軌道に乗せた。俺も彼女を守ってくれるよう頼んだ。織田はそれをちゃんとやってくれた。それはそれで良いんだけど、、なんだろう。この敗北感。川村の次は織田かよ。。
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