坂道では自転車を降りて
このままの彼女を大事に

 長いんだか短いんだか、よくわからない1週間が過ぎた。部屋は、まあ片付けた。俺の留守中に母も一度、掃除機をかけてくれたらしい。親ってありがたいよな。見られて困るモノは、タンスの奥に隠した。座卓と座布団を一応2枚用意した。一緒にって言っても、すでに俺達の授業の内容はバラバラだから、勉強はそれぞれすることになる。俺は机で、彼女は座卓で、勉強するだけだ。どうせなら、数学の解らないところを教えてもらおうと思って、数学の問題集を解いてみら、結構できなくて、落ち込んだ。

 彼女は英語の勉強道具を持って来ていた。考える事は同じだ。俺の予想に反して彼女は英語が全然出来なかった。確か1年の学年末テストでは、上位成績者に名を連ねていたような気がするのに、どうしてこんなに?文法も曖昧だし、語彙もイディオムも全然足りない。あの予習は?なんだったんだ?どんな勉強をしてきたのかと思ったら、教科書以外開いた事がないと言う。問題集も高校3年になって初めて買ったし、参考書に至っては見た事もないらしい。要するに自分で勉強をした事がないのだ。

「あれ?あの時の予習ノートは?」
「あれは、メグのを丸写しした。」
「え、数学や理科も予習復習とか参考書を見たりしないの?」
「そうだね。教科書しか持ってないや。家でも勉強したほうがいいのは分かってるんだけど。でも、数学はこの前、予備校で問題集を貰ったよ。」
それは多分テキストだし、貰ったんじゃなくて買わされたって言うんだよ。ちゃんとやるんだろうな。

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