坂道では自転車を降りて
大野に負担をかけるな
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1学期末。まずまずの成績表を貰い上機嫌で廊下を歩いていたら、担任に呼び止められ、進路指導室へひっぱりこまれた。これから彼女と帰るのに。。

「お前はちゃんと勉強してるらしいな。」
すぐ終わるから、とドアを閉めながら担任は言った。
「ええ、まあ。」
部活も引退したし、勉強時間が飛躍的に増えた。多恵にも教わってる。成績が上がるのは当然と言えば当然だ。

「この1年は余計な事しないで勉強に集中しろ。このまま伸びればもう少し上を狙えるかもしれん。」
「はい。ありがとうございます。」
「男子はこの時期伸びるヤツが多いんだよ。特にお前みたいなタイプは。」
「はぁ。」
怒られるわけではないらしい。いったい何の用なんだろう。

「大野とは上手く行ってるの?」
「はい?」
「大野多恵だ。演劇部の。付き合ってるんだろ?今も一緒に帰るのか?」
「ああ、はい。」
「その大野も今頃呼び出されてる筈だ。」

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