坂道では自転車を降りて

 彼女も俺と同じく公立に願書を提出していた。親の手前で受験するという前期日程の大学はC判定だ。彼女は記念受験だと言うけど、俺は受けてみたら案外受かるのではないかと思っている。彼女は2月に入ってからも勉強を重ねて、確実にスコアを伸ばしている。
 本当は後期試験の願書を出した地方国立大学に、彼女が一番興味を示していたことに、俺は気付いていた。彼女は関西地方のその大学を受けたくて勉強を続けているのかもしれない。彼女は絶対に家を出るべきだと言う北村さんの言葉もひっかかる。模試の結果もB判定だ。合格は十分あり得る。だが、結局そちらはもう受けないと言う。親が受けなくて良いと言ったらしい。不慣れな土地での女性の一人暮らしは心配も尽きない。親の言う事はもっともで、勉学の内容に大きな差がなければ、自宅から通える都内の私立が無難だ。遠距離恋愛は俺にとっても都合が悪い。

「どうする?少し勉強して行く?」
「え。試験明日でしょ?まずくない?」
「いや、むしろ大歓迎。ちょっと、緊張し過ぎてテンパってるんだ。」
「じゃあ,少しだけ。」

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