【完】恋の授業を始めます。
「わぁ!見てみて賢人君、この魚、可愛い!」
そう言って魚を指差しながら、今宵は楽しそうに笑っている。
「あんま、はしゃぐなよ。転んで怪我でもしたらどうすんだよ。」
「大丈夫だよぉ。」
楽しそうに歩いてるが、次の瞬間、足を躓いて、転びそうになった。
「きゃぁ!」
「危ない!」
俺は走って腕を引っ張り、片手で今宵を支えた。
「だから言っただろ。」
「ご、ごめん、ありがとう。」
そう言って顔を上げてこっちを見る。
顔が近く、今にも唇が触れそうなくらいだった。
俺はすぐに今宵の傍から離れた。
今絶対、顔赤い。
「次、あっち行こうぜ。」
「あ・・・うん。」
あっっっぶねぇ。
キスするとこだった。
いつもは結構身長差あるのに、あいつ今日はヒール履いてるから、いつもより、意外と距離近いんだよな。
それに・・・
「なぁ、見ろよ。あの子。」
「え?どの子?」
「あのピンクのワンピースの子。可愛くね?」
「うわ、ほんとだ!後で声かけてみようぜ。」
そう話してるチャラ男だけじゃなく、周囲の男たちも、今宵のことを見ている。
俺はそれを話しているチャラ男に、腹が立った。
「こいつも無自覚だしな。」
今宵自身も、周囲に対する自分の視線に気づいていない。
ほんと・・・鈍感すぎんだろ。
「俺、ちょっとトイレ。」
「うん、そこで待ってるね。」
俺は近くにあるトイレに向かった。
少し時間が経ってから戻ると、今宵は二人の男に話しかけられていた。
しかも相手は、、さっきのチャラ男たち。
「俺達ここ始めてきたんだけど、よく分かんなくてさぁ、お嬢ちゃん、案内してくんない?」
「いや、私も初めてで、よく分かんなくて・・・」
あからさまに嫌そうな顔をする今宵。