甘い恋の賞味期限
「じゃあオレ、千世に好きなもん聞いとく。そうだ! 今度、千世をうちに連れて来よう」

 楽しそうな様子の息子を見るのは、悪くない。

「そのプリン、父さんにもくれ」

「半分な。千世と約束したし」

 スプーンを取ってくると、ふたりは揃ってボウルプリンを食べ始める。

「うん、美味い。カラメルが苦くて、いいな」

「オレはもっと甘いほうがいい」

 と言いつつも、最後まできっちりと食べ終えた。




*****

 ケーキと言えば、やはりショートケーキだろう。チョコも好きだし、チーズも好き。
 だが迷った時、辿り着くのはいつも真っ赤な苺がきらめくショートケーキ。

「プリンといいケーキといい、作るのは久しぶりよね」

 ご飯系は毎日のように作っていたが、お菓子からは遠ざかっていた。ひとり暮らしする時、実家にお菓子用の道具は置いてきたし、作ることもできない状態ではあるわけだが。

「一から揃えると、高いのよね」

 千紘のためにと買い揃えるのも面倒だ。大体、お菓子の道具を買い揃えたら、必然的に材料も揃えないといけなくなる。
 それじゃあ、コツコツ貯めている貯金のゼロが、どんどん減っていってしまう。

「ま、実家に戻れば道具はあるし、材料費もかからないし」

 だからせめて、レシピくらいは自分で調達しよう。

「う〜ん……モンブラン食べたくなってきた。あそこのコンビニのモンブラン好きだけど……あるかな」

 時刻は21時半過ぎ。今から甘いものを食べるのは、いささか危険だ。
 だが、コンビニまでは歩いて5分。往復で10分。

「それでチャラってことで。買いに行こ」

 上着を羽織り、財布とスマホだけ持ってコンビニへ出かけよう。我慢はよくないのだから。

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