甘い恋の賞味期限
千世が来るのを確認して、史朗がカードキーを取り出す。
(専務の私服って……だらしないわね)
エレベーターに乗り込んでも、ふたりは無言。
それもそのはず。ふたりには大した接点もないのだ。同じ会社で働いているとは言え、顔を合わせることなどない。
千世もフレンドリーなタイプではないし、この場で気軽に話しかけたりもしない。
しかしそれよりも、史朗の服装が思いの外だらしないことに驚いている。イメージ的に、もっとオシャレな服を着ていそうだったから。
「どうぞ」
「あ、ありがとうございます」
エレベーターを降り、向かう先は専務宅。
ーー大丈夫。
この日のために、昨日から色々と考えたのだ。ケーキだって作ったし、日頃は気にしない服装も気にかけた。専務様のお宅にお邪魔するのだ。失礼があってはいけない。
「千紘。千世さんが来たぞ」
史朗の言葉と共に、騒がしい足音が近づいてきた。
「ち――せ――!」
元気な声と共に登場した千紘は、そのままの勢いで千世へと飛び付いた。
「倒れ――!」
そう思ったが、史朗が支えてくれた。
た、助かった……。
「お、お手数おかけします……」
「いや、構わない。千紘、危ないだろう。千世さんに謝りなさい」
千世に抱きついたまま、千紘はべーっと舌を出すばかり。謝る気はなさそうだ。
「千世、それなんだ?」
「え? あぁ、ケーキだけど……」
千世の手荷物が気になった千紘。
しかも、その中にはケーキを入れる箱らしきものもある。
(専務の私服って……だらしないわね)
エレベーターに乗り込んでも、ふたりは無言。
それもそのはず。ふたりには大した接点もないのだ。同じ会社で働いているとは言え、顔を合わせることなどない。
千世もフレンドリーなタイプではないし、この場で気軽に話しかけたりもしない。
しかしそれよりも、史朗の服装が思いの外だらしないことに驚いている。イメージ的に、もっとオシャレな服を着ていそうだったから。
「どうぞ」
「あ、ありがとうございます」
エレベーターを降り、向かう先は専務宅。
ーー大丈夫。
この日のために、昨日から色々と考えたのだ。ケーキだって作ったし、日頃は気にしない服装も気にかけた。専務様のお宅にお邪魔するのだ。失礼があってはいけない。
「千紘。千世さんが来たぞ」
史朗の言葉と共に、騒がしい足音が近づいてきた。
「ち――せ――!」
元気な声と共に登場した千紘は、そのままの勢いで千世へと飛び付いた。
「倒れ――!」
そう思ったが、史朗が支えてくれた。
た、助かった……。
「お、お手数おかけします……」
「いや、構わない。千紘、危ないだろう。千世さんに謝りなさい」
千世に抱きついたまま、千紘はべーっと舌を出すばかり。謝る気はなさそうだ。
「千世、それなんだ?」
「え? あぁ、ケーキだけど……」
千世の手荷物が気になった千紘。
しかも、その中にはケーキを入れる箱らしきものもある。