絶対主従関係。-俺様なアイツ-
「あの、ちょっと、二人とも……!」

「もしかして、愛子ちゃんのせい?」

 ええっ!?

急に問い詰められ、禅くんの険しい迫力に思わず言葉を失う。


 そんな様子を見てか、ミカドはため息をこぼした。

「禅は俺がいない穴埋めしろって言ってんだよ」

「それって二人きりになりたいってことー?」

「な、ななななにいってるの、禅くん!!」

 禅くんってば疑い過ぎだ。

こうなったら本当のことを話すしかない、と覚悟を決めたときだ。


「お前しか頼めるやつがいないからだろう?」


 呆れたようにいうミカドの言葉。

けど、それを禅くんは目を見開いて、ゆっくり飲みこんでいた。


「……そっか…うん、わかったよ。帝に勝たせるのも、使用人の仕事だしね!」

 嬉しそうな禅くん。

確かに、大切な人から頼めるのは自分だけ、なんて言われたら嬉しいはずだ。

それだけ信頼をもらっているってことだもん。


 こっそり顔だけ近づけてきた禅くんは、意地悪く笑う。

「いい、愛子ちゃん!?帝に手出さないでよ!?」

「だ、だーれがそんなこと……!」

 言い残すように、まるでしっぽを振っているようにすらみえるくらい、急いであたしたちを後にした。


「……本当に、禅くんに好かれているのね。アンタって」

 ちらりと横目で見たミカドは、ふん、と鼻で笑いまた歩きだした。

あたしはコロコロかわる態度に振り回されながらも、なんとか広い背中について行った。



 ……だから、まさか、こんなことになるなんて。

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