絶対主従関係。-俺様なアイツ-
 不安がのしかかったあたしに、禅くんは焦ったようにフォローしてくれた。

お付っていっても、どうやら同級生の女の子らしい。

「なあんだ!」

 とてつもなくオネエサマなかんじだったら、きっとイビリ倒されてあたしはギブアップしていたかもしれない。

同年代ならきっと話も通じるはずだ。


「うーん、まあ、愛子ちゃんなら大丈夫かな?」

 禅くんはやっぱり難しそうな顔をしていたけれど。

「ほらほら、帰ろう!」

 すでにお屋敷の入り口だったから、あたしは禅くんの背中を押しながら入っていった。



 白い大きな扉を開けようとした、そのときだった。


「禅様!」

 鈴を転がしたような、可愛らしい声が背後から響く。

どこか聞き覚えがあるようだけども、すぐに思い当たらなくて、ゆっくり振り向いた。


「お嬢様、もうお着きでいらっしゃいましたか」

 一瞬にして禅くんの表情が、仮面見たくすり代わったのを見逃さなかった。

さすがプロと名乗るだけはある。

そして振り向いた先には、黒塗りの高級車が今にも発進しそうにしていて、そこから出てきたであろう彼女の姿に、あたしは驚かずにはいられなかった。


「え、うそ……?」


 そんな小さな呟きを禅くんは聞いていたようで、

「どうかした、愛子ちゃん?」

 答える気力がなかった。

だって、そこには


「あら、昼間の……?」


 そう、背後から突撃してきたあの女の子だ!

確か名前は……


「りりか様!!」

 ピシっと緊張感を漂わす口調の女の子も、やはりそこにはいた。


「見早のけちんぼね!」

「けちんぼとはなんですか。いいですか、三千院家の者たるもの如何なるときも平常心で──」

「わかったわよう~」

 口を尖らせるお嬢様は、やはり品性を残しつつ親しみやすい。


「お嬢様、すぐ手配しますので」

 そういって禅くんは丁寧に扉を開けて腰を折る。

あたしも慌ててそれに倣った。


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