絶対主従関係。-俺様なアイツ-
 感動のあまり、荷物が手から滑り落ち、飛び込むように部屋に入る。


「ベッドの上においてあるのが、当屋敷の作業服となっておりますので、まずお召し替えください」

 淡々と説明を終え、晴海さんは丁寧にお辞儀をして、パタンと扉の向こうに消えていってしまった。


 屋敷に入ってから、なんだかよそよそしくなってしまったように感じていたけど、晴海さんは仕事でココにいるんだ。

考えてみれば当たり前だった。


 藤堂帝がナニよ!

向こうはあたしのことをなんにも知らないわけだし、お屋敷にはたくさんの使用人がいる。


ただ黙って仕事をして、お金をもらえばいい。


「よっし、がんばるぞ!」

 両手をぐっと拳を握って、気合を入れた。


「それにしても、アイツの家で仕事することになるとはね~…」

 ボストンバッグから目覚まし時計や、なけなしのメイクボックスを取り出しながら、あの見た目だけは上級なオトコを思い出していた。


 トウドウ ミカド。

あたしはコイツが許せなくってしかたない。



 中学を卒業して入学準備のために、これから通うことになるという高校にやってきていた。

なにかと奨学金を得るには書類が必要で、とにかく足りないものがないように必要以上に荷物があった。

そんなときに、藤堂帝と出逢ったんだ。


 広い校舎を迷ってるときに、急いでるあたしは運悪く一人の男の子とぶつかった。

「ごめんね、大丈夫?」



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