絶対主従関係。-俺様なアイツ-
 角で背を向けながら膝を抱えて座っている父。

最近疲れのせいなのか、白髪が急激に増えているのだ。


 あわてて駆け寄り、やせ細った背中をさすってやると、うつろな瞳で振り向いてくる。


「愛子か……」

 さびしそうに微笑むから、あたしも思わず涙ぐんでしまう。


「お父さん、どうしたの……?」

 そっと肩を抱くと、父の瞳からぼろぼろと大粒の涙が零れてた。

こんな見も心もボロボロな姿に胸がギューッと締め付けられる。


 ゆっくりと開きかけた口元に、なぜか鼓動が早くなる。


「ごめんな…愛子……」


「うん、わかったから」


「…愛子、ごめんな……」


「うん、だからなに?」


「愛子……ごめん…」


 ひたすらそれを繰り返すものだから、あたしもいい加減イライラしてきてしまった。


「んもう!なんなのよ、言いたいことがあるならハッキリ言ってよね!!」

 ピシャリと言い放つと、膝を抱えていた父がキラリと目を光らせた。


 ……――ヤバイ、地雷踏んだかも。


そんな焦りは時すでに遅し、だ。


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