絶対主従関係。-俺様なアイツ-
 確かに、あたしだってバイトをして自分のことぐらいは全てソレで片付けてきた。

でも生活するとなるとまた別問題。


 貧しかったけれど、哀しい想いはしたことない。

父も母も、あたしをとても愛してくれてた。


 ここまで立派に育ててくれたのは、やっぱりこの父がいてこそ。

その父が言うのだから、仕方ない。



「……うん、わかった。お父さんがそこまでいうのなら」

 寂しくないわけがない。

けど、ああはいっているものの、父の身体だって置いてきているのは事実だから。


 意を決して、あたしは力強く頷いた。




 翌日、あたしは学校帰りに牛丼屋のバイトも休み、これから生活することになるお屋敷へ向かう。

店長はすごく心配してくれて、また来れるようになったら連絡するように、と優しい言葉までくれた。


 あたしは本当に、嬉しかった。



「お互い、がんばろう!」


 アパートを引き払い、そういって今朝別れた父の顔を、空に浮かぶ雲に重ねては頭から振り払っていた。


 だって、これはお父さんとの明るい生活のためなんだもの!


 もらった地図を頼りに、閑静な住宅街をさ迷い歩く。

塀やオシャレな柵が高すぎて、よく建物がわからないのだ。


 おまけに、学校のカバンとは他に、大きなボストンバッグ2つほど担いでいるから、息も次第に上がってくる。


「一体、ドコなのよぉ~!」
< 7 / 130 >

この作品をシェア

pagetop