GOLD BOY〜不良彼氏〜



「美鈴ちゃん、早く逃げるよ」



ソファーの上で1人でうずくまりながら泣いてた私の頭上から聞こえたその声は、慎悟くんのものだった。



「何で…?」



何で慎悟くんがここにいるの?



そんな私の疑問を、さすがエスパーの慎悟くんは、私の心を透かして分かってくれたみたいで。



「葵から急に電話あって、来てみたら外すげぇことになってるからビックリしたよ」



そう答えてくれた。



慎悟くんに『立てる?』って言われて立とうとすると、頭がズキンてして立ち上がれなかった。



すると慎悟くんは私の前で背中を向けてしゃがみ『おんぶ』って言った。



え?おんぶ?!

って驚きと恥ずかしさと申し訳なさが混じった私は、無理矢理慎悟くんにおんぶしてもらう形になった。



倉庫の中は案外広くて、慎悟くんが私をおんぶしながら歩いて疲れないかなぁって心配になった。



だから、思い切って聞いてみた。



「ねぇ、慎悟くん」


「んー?」


「重く……ない?」




恐る恐る聞いた私の耳に届いたのは、


慎悟くんの小さい笑い声と、『全然余裕』って、私をとても安心させてくれる言葉だった。



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