私立桜恋学園~貴方は何科?~

~4月~

私は、部屋の鏡の前に立っていた。
今日はついに桜恋学園の入学式。
私は桜恋学園の真新しい制服に身を包んでいた。
白いブラウスの上には淡いベージュのブレザー、そしてピンクのチェックのスカートという制服だった。
水色のリボンもついていて、このリボンは取り外しが出来る。
桜恋学園は、制服が可愛いという事でも有名だった。
こうして実際に可愛い制服を着る事が出来て、私はとても嬉しく思っていた。

背中の半分ぐらいまで伸ばしている髪を丁寧に整えてから改めて鏡を見ると、何だか違う自分に見えた。
鏡でおかしい所がないか確認すると、私は部屋から出て、リビングに向かう。


リビングには朝食の美味しそうな香りが漂っていた。

お母さんが私に気づき、ニッコリ笑う。

「おはよう、優梨。制服似合ってるじゃない。可愛いわよ。」

「ありがとう、お母さん。」

私はお母さんにそう言うと、朝食が置かれている自分の席に着いた。
すると、お母さんも私の向かいの席に座った。
お母さんはスーツを着て、綺麗に化粧をしていた。
私が桜恋学園に合格した時、お母さんは自分の事のように喜んでくれた。
今日の入学式もとても楽しみにしていたそうだ。

「優梨も、ついに高校生ね。」

お母さんが箸を動かしながら言う。
私は軽く頷く。

「うん、桜恋学園はプロの先生が授業してくれるんだって。いい大学に行く為に頑張るね。」

「ええ、頑張ってね。優梨がお医者さんになったらお母さんとても嬉しいわ。」

お母さんは看護師として働いている。
優しくて、笑顔を絶やさないお母さんは看護師にぴったりだと思う。
私はそんなお母さんが大好きで、お母さんを喜ばせてあげる為にも、私は医者になりたいと思っている。

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