しあわせのかたち
阿部が女の人と歩いている姿を見て、ショックを受けた。

そして、それまで碓井主任の事が好きだと思っていた気持ちがわからなくなった。

だから、私は碓井主任の告白を断る事にした。

だけど、その時、“待つ”と言ってくれた碓井主任。

碓井主任と一緒に居る時間が増え、ドキドキしたし、“やっぱり好きなのかな?”って思った。

でもそれは、流されているだけ?

そう思っていたけど……


でも、二人で過ごす時間が取れなくなり、私はそれをすごく寂しく思っていた。

職場では会えるけど、仕事以外で碓井主任と会えない事がすごく寂しかったんだ。

気が付けば、私は碓井主任の事を、前よりももっと好きになっていた。


「俺も、好きだよ。前よりも……、七海の事が好きだ」

「……主任」


私は碓井主任の背中に腕を回して、背中をぎゅっと掴む。

碓井主任に抱きしめられている私はすごくドキドキしていて、顔はすごく赤くなっていると思う。


「七海」


名前を呼ばれ、私は碓井主任の腕の中から顔を見上げる。


「俺と、付き合って下さい」


そう言う碓井主任は、真剣な目で私をじっと見つめる。


「はい」


碓井主任にまっすぐ見つめられ、恥ずかしくなった私は、返事をして、そのまま碓井主任の胸に顔を埋める。


「ありがとう」


私を抱きしめる碓井主任は、私の耳元で嬉しそうにそう言った。


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