しあわせのかたち
そして、着いた場所は……

碓井主任が“待つ”と言ってくれた夜景の見える丘だった。


「最近、一緒に居られなかったからさ……。七海と二人でゆっくり会いたい、ずっとそう思っていたんだ」


夜景を見ながら、私の隣に立つ碓井主任が言う。

碓井主任も会いたいと思っていてきれた事が嬉しくなる。


「私も……。私も会いたかった……。仕事だし仕方ないのはわかっているけど、主任とこんな風に会えなくて、寂しかった……」


お酒の力もあって、私は今まで心の中で思っていた気持ちを俯きながら言葉にした。

そして、我慢していたものが爆発し、私の目には涙が溢れて来た。


「主任が“待つ”って言ってくれて……、その気持ちに甘えて……。私……自分の気持ちをなかなか言わなかったけど……。仕事以外で会えないのが、寂しかった……」


そこまで言うと、私は碓井主任の方を向く。


「私……、主任の事が……好き……」


私がそう言うのと同時に、碓井主任は私の腕を掴み、グイッと引き寄せ抱きしめる。


「七海……。それ、本当?」


碓井主任は私の耳元で囁く。


「はい……」


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