しあわせのかたち
「……えっ?どうして……?どうして、泣いているんだ?」


顔を上げた七海の目からは涙が溢れていた。

その表情は、“俺の気持ちを受け取れなくてごめんなさい”という感じじゃなく、何か我慢をしているような、苦しげな表情だった。


「どんな事でもいいから、言いたい事を全部話して?」


心の中に何を溜め込んでいるのかわからないけど、話を聞いて取り除いてやれるのなら、俺がそうしたかった。

諦めの悪い、俺の自己満なだけかもしれないけど。


「私、主任に告白された時、嬉しかったんです。私も主任に惹かれはじめていたから……。でも、だんだん自分の気持ちがわからなくなって……」


七海が俺の事を意識していた事を知り、驚いた。

でも、気持ちがわからなくなったという事は……


「それは阿部君の事?阿部君も七海の事、好きなんだろう?」


俺が阿部君の気持ちを知っていた事に驚いた七海に、阿部君が俺に“七海に告白した”と言ってきた事を話した。


「あの……、阿部は断りました。だって、阿部の事は友達としか思えないから」


そうか、と思いながら、七海の話を俺は聞いた。


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