しあわせのかたち
「それより、気分は悪くないか?大丈夫?」

「はい、大丈夫です」

「じゃぁ、少し付き合って。帰りはちゃんと送るから」


そう言って、俺は七海の家じゃなく、ある場所へと車を走らせた。

それは、七海に一度フラれた場所。

夜景の見える丘。


「最近、一緒に居られなかったからさ……。七海と二人でゆっくり会いたい、ずっとそう思っていたんだ」


本当に七海が寂しいと思ってくれていたかはわからないけど。

俺は、不安だった。

忙しくてなかなか二人で会う時間が取れないでいた。

会えない間に、俺の事はどうでもよくなるんじゃないかって。

七海と会って、俺の存在を大きくしたかった。

“待つ”と言ったのは俺だけど、“早く俺だけの事を見て欲しい”そう思っていた。


「私も……。私も会いたかった……。仕事だし仕方ないのはわかっているけど、主任とこんな風に会えなくて、寂しかった……」


“会えなくて、寂しかった”

七海の口から、そんな言葉が聞けた俺は、嬉しさのあまり、七海を抱きしめたくなる。

だけど、その衝動を俺は必死に抑えた。


「主任が“待つ”って言ってくれて……、その気持ちに甘えて……。私……自分の気持ちをなかなか言わなかったけど……。仕事以外で会えないのが、寂しかった……」


そこまで言うと、七海は顔を上げ、目に涙を溜めながら俺を見る。

そして……


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