しあわせのかたち
「謝らなくていいから」


優しくそう言って、阿部は一呼吸置き、


「なぁ、七海。これからも友達でいてくれる?」


少し、不安げな表情で私を見る。


「えっ?でも……」


そりゃ、私はこれからも仲良くしたいけど。

私は阿部の告白を断った。

でも、阿部はこれからも私と仲良くしてくれるの?


「俺からのお願い。ダメか?」


私は大きく首を横に振る。

そして、「ありがとう」と言った瞬間、涙が溢れてきた。

私が泣くのは違うと思う。

だけど、溢れた涙はなかなか止まらなかった。


「何でお前が泣いてんだよ」


そう言って、阿部は私の頭をポンポンと撫でた。


「後さ、もう一つお願い」


私は涙目のまま阿部を見る。


「相手はあの主任でも、他の人だったとしても、次は幸せになれよ」


そう言って、阿部はにこっと笑う。


「阿部……」


大学生の頃の元彼達の事は話していないけど、阿部には雄二にフラれた事を話したし、フラれた理由を知っている。

だから、そんな風に言ってくれたのだろうけど。

私は阿部の優しさに触れ、また涙が溢れた。


「お前、泣き過ぎ」


阿部は笑いながら、また私の頭をポンポンと撫でた――…


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