それでもあなたと結婚したいです。

「ダメじゃない……花枝さん顔、見せて………。」


両手で私の頬を包むとゆっくり顔を上げさせられる。


(やだ、こんな顔見られたくないのに……。)


滲んだ視界が彼の指で開かれると、千春さんはすぐ近くで私を見つめていた。

不思議な物でも見つけたような、そんな顔で。


「強い筈の君を……俺が泣かせてしまったの……?」


彼の両手に僅かな力が籠るのを感じる。


少しづつ引き寄せられて…


「千春……さ…ん……?」


次の瞬間、私は千春さんの唇に包まれていた。


「ん………」


優しくついばむ唇は私の胸を苦しめる。


「……んん……ちは………るさ…ん…、……待って…息出来な……い」


「花枝さん…………キスって………」


「ん……」



「………気持ちいいんだね………」


息継ぎの合間に話し掛けられて、答える前にまたキス。


「ねぇ…花枝さんも…………気持ちいい……?」


(さっきまでキス出来なかったくせに、何でこんなに上手いの?)


腰の辺りがぞわぞわしてさっきから力が入らない。


ソファーに押し倒されながら更に、キスで答えをせがまれる。



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