運命のブレスレット
「水野さん、ちょっと来てくれる?」


「え?わ、私…?」


放課後、クラブに行こうとしていた水野さんを引き止めた。


いつもよりも若干強めの口調でね。


まさか声を掛けられるとは思ってなかったみたいで、かなり焦っている。


「ちょっとお話ししたいことがあるんだけど…。」


周りの取り巻きがこっちを伺ってきた。


敵か味方か見極めてるんだろうね、今。


「え、でも私…クラブ…。」


そう言っていつものように、私から視線を逸らして逃げようとするサヤを引き止める。


「水野さん…いいから鞄とかすぐに帰れるもの持ってすぐ来てくれる?」


「は、はい…。」


大丈夫?って声を掛けて心配そうに振る舞う取り巻きもいたけど、クスクスと静かに笑っている人もいる。


「じゃ、行こっか。」


私は帰る用意を終えたサヤの手を掴んで、教室から出た。


教室で、存在感を薄くして待機してもらっていた夏帆を廊下から小さく手招きする。




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