運命のブレスレット
「橘さん、私、明日からちゃんと車で行きます!」
私は家に帰ってきて、すぐに手を洗うと、橘さんの前で明日からは車で登下校することを宣言した。
橘さんは、グラスを手に持った
まま呆気にとられている。
「お、お嬢様は正気でございますか?」
「正気に決まってるじゃない!」
「そ、そうですね。失礼致しました。明日は何時に車の用意を?」
「何分ぐらいで学校行けるかな?」
「大体…5〜8分ですね。」
「じゃあ8:10分で!」
「承知致しました。ところでお嬢様。」
「何か?」
「それは三宅様からのご指摘ですか?」
っっ!
痛いとこを突かれた。
「な、なっ!!!そ、そうよ!それが何か問題でもっ?」
私はおそらく赤くなってるであろう顔を背けながら言った。
「いえいえ。では私はこれで失礼します。」
クスクスと笑いながら給仕場へと向かっていく後ろ姿が憎らしい。
「こんのぉクソ野郎!バカーッ!」
『少なくともお家では丁寧な言葉遣いをしなさい。』
というお母さんのしつけに背いて、私は老いぼれハゲ執事の小さくなった背中に向かって叫んだ。