運命のブレスレット

ちょこっと遡って和馬SIDE

「…萌南…ちゃん…?」


思わずそう呟いて手元にあるスマホのストラップに目を落とした。


「あ?誰だよ、萌南って?」


「……。」


「あー、もしかしてさっきの奴か?」


「司…。」


「なんだよ。」


「あの子だけは、追い払わないで欲しかった。」


「あの子ってさっきの奴か?」


「うん。」


「アイツなんか変だったよな?なんかカズのスマホのストラップまじまじと見てさ、『これは、先輩のものですか?』っておかしくね?あぁ言ってて実はカズ目当てだったりして。ってかそうだよな、どいつもこいも…。」


「それでもあの子だけは…」


そこまで言った時、司が突然大声を出した。


「ってああ!!!今繋がったぜ、俺。アイツってもしかしてお前にそのストラップあげたやつじゃね?名前なんつったっけ?」


「…大谷萌南。」


「そうそう。そんな名前だったよな。」


「司、気づくの遅すぎ。」


司が周りの必要以上に集まってくる女子を追い払ってくれてるのは分かってるし、感謝も勿論してる。


今回もあの子を睨んで追い払ってたのは気づいてた。



でも、

あの子にだけはして欲しくなかった。


「でもアイツだって一緒だろ?女は結局金と見た目なんだよな。」


吐き捨てるように言う司に、


「違う!あの子だけは違う…。司、お願いだから誤解はしないで欲しい。」


反射的に口から言葉が出てきていた。


自分でも思った以上に声が大きかったことに気づく。
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