イジワル上司の甘い求愛

「…っぷっ、」

気まずい沈黙を打ち破るかのように私の反応を見ていた浦島さんが急に吹き出して、肩を震わせて笑い始めた。

呆気に取られたのは私の方で、箸を持ったままきょとんと浦島さんを見つめたまま動けない。


「ははは、ごめん。有瀬さんのそういうところ、昔から全く変わってないなって思った」

「昔から……?」

私のポツリと呟いた一言に、ふっと真顔に戻った浦島さんは私から視線を背ける。

「嘘つくと、早口になる。それから、下唇をよく触ってる」

はっとした。
そして、急に恥ずかしくて堪らなくなる。

「有瀬さん、昔の面影なんてない位に変わったのに、そういうところは高校の頃からずっと変わってない」

半分だけ背を向けた形になった浦島さんのぶつくさと喋る。


表情はよく見えないけれど、浦島さんの耳がほんのり赤くなっていることに気が付いた私はどうしていいか分からないほど、胸がざわつく。

浦島さんだって、昔の面影なんてないくせに……
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